川端康成の「雪国」を英訳し、彼をノーベル文学賞に導いた、ドナルド・キーンという文学者がいる。
彼曰く、日本人の特徴として川端からいくつか単語をあげられ、そのなかに「あいまいさ」「余情」というのがあったという。
もちろんポジティブな意味として。

具体的には、有名な「トンネルを抜けると雪国であつた」より。
英訳に取りかかるキーン氏は、「主語がない」と。
トンネルを抜けたのは「私」なのか「汽車」なのか、冒頭からつまずいた。その他諸々。

そして川端に直接聞きに言ったという。そして主語がないから良いのだと言われたそうだ。
今でもキーン氏は「あいまいさ」「余情」を重要視している。

さて、写真を長々やっていると、友人たちから「心霊写真」の問いが結構ある。
そのほとんどが説明できるものであるし、自分が実際失敗して学んだものであり
心霊写真のようにならないよう心がけるものである。
さらに私は工学部出であり、根っからの理科屋さんだ。

変化が起きたのは数年前。友人から「これは心霊写真か?」と問われた時、
「これはこういう環境下でこうするとこういう写真になってしまう」などと即答し、相当がっかりさせてしまった。

「ああ。人はこのような、あいまいさ・余情を求めているのだ」

古来から日本人は八百万の神、物の怪、霊、妖怪など、人知の及ばないものを創造し、想像してきた。
そういうミステリーにロマンを感じるのだ。
科学万能時代と言われ数十年たった今も、その類の話が尽きることはない。

それに気づいて以来、心霊写真を否定しなくなった。
アシスタントから「これは何?」と聞かれたら「オバケ」と答え、
忘れ物をしたら「UFOから恐怖の記憶喪失ビームを受けた」と答える。
実際、そちらの方が面白い。ガチガチに理詰めは面白くなく息苦しい。

まだまだオバケを肯定するには至ってないが、否定するのをやめただけでも人生は広がる。

日本人の持つ「あいまいさ」「余情」は、写真においても人生においても大事にしようと思う。

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かなでるフォト 代表 いしばし
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